注)各病型でお示しする『関連する特異的IgE抗体検査』は一例のため、必ずしも特異的IgE抗体検査としてはそれだけで十分というわけではありません。診断は他の関連する検査結果や臨床症状等に基づいて総合的に判断してください。
・花粉症に合併することの多い食物アレルギーです。花粉に感作した人が花粉と交差抗原性をもつ特定の食物を食べたときに主に口腔症状(OAS:Oral allergy syndrome)を呈することがあります。成人の食物アレルギーではめずらしくありません。
・PFASでは症状を呈した食物だけでなく原因となっている感作花粉の同定が重要とされています。関連する原因花粉と食物の表(PFASカレンダー。下記参照)から候補となる花粉をご確認いただけます。
・検査としては、特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテスト、必要に応じて負荷試験を実施します。
・感作花粉の特定では、交差反応の情報から候補となる花粉の特異的IgE抗体測定や、特にシラカンバやハンノキ花粉症患者の豆乳によるPFASの場合、大豆コンポーネントのGly m 4が陽性になることもあります。
・シラカンバやハンノキ花粉症患者におこる豆乳アレルギーの場合、大豆粗抗原の特異的IgE抗体では陰性となることが知られていますが、大豆由来のアレルゲンコンポーネントGly m 4特異的IgE抗体が陽性となることが多く診断の参考となります。
・ラテックスアレルゲンに感作された人が、ラテックスと共通抗原性をもつ果物や野菜、例えばバナナ、アボカド、キウイ等を食べて蕁麻疹やアナフィラキシーを起こすことがあります。
・ラテックス-フルーツ症候群(LFS:latex-fruit syndrome)と呼ばれています。ラテックスアレルギーの人はこれらの食物にも注意が必要です。
・LFSが疑われる場合は、被疑食物とラテックスの感作状況について、検査で確認します。特異的IgE抗体検査では、粗抗原のラテックスと併せて、LFSの交差抗原であるHev b 6.02(ラテックス由来アレルゲンコンポーネント)の測定が有用です。
関連する特異的IgE項目
・原因食物の摂取単独では症状が出現せず、原因食物摂取+運動負荷によってアナフィラキシーが誘発される病態です。食後から2時間程度以内の運動負荷により即時型症例を呈した場合はFDEIAを疑います。
・運動以外にもNSAIDs接種やその他要因(アルコール摂取や入浴など)との組み合わせで発症する可能性があります。
・原因食物として頻度が高いのは、小麦、甲殻類、果物などです。
・小麦が原因のFDEIAのことを小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis,WDEIA)とも呼ばれ、成人のWDEIA症例の90%以上でω-5グリアジンIgE抗体価が陽性であると報告されています。成人のFADIAの大半がこのω-5グリアジン抗体陽性のWDEIAともいわれています。
・動物を飼育している人が、動物アレルゲンと交差反応のある肉類によって食物アレルギーを発症することがあります。代表的なpork-cat症候群は、哺乳類間で相同性が高い血清アルブミンが交差抗原となり、ネコのフケに対して経気道感作された人が豚肉を食べたときに即時型症状を呈する病態です。
・豚肉以外にも牛肉などでの症状が報告されています。
・検査としては、豚肉や牛肉などの獣肉、及び感作源となった動物由来抗原の特異的IgE抗体検査を実施します。
関連する特異的IgE項目
・マダニ咬傷によりα-Gal(マダニの唾液や消化管内に存在する糖鎖)に感作された人が交差反応により獣肉アレルギーを発症することがあります。マダニ生息地域における山野での活動がある方の症例が多いですが、イヌやネコなどのペットに寄生したマダニ咬傷でも起こりえます。
・鶏肉では症状誘発がなく、牛や豚といった4つ足動物の肉の摂取が主な原因となりますが、摂取後2~6時間後に蕁麻疹などの症状を呈することが多く通常の即時型食物アレルギーやpork-cat syndromeと異なり遅発型をとります。
・検査としては、牛肉や豚肉などの獣肉に対する特異的IgE検査を行います。
関連する特異的IgE項目
・お好み焼きやホットケーキの摂取による全身性のアレルギー症状は小麦が原因ではない場合があります。食品中に混入したダニが原因となっていることがあります。Oral mite anaphylaxisとも呼ばれます。特に、常温で数か月保存されたお好み焼き粉やたこ焼き粉を使って調理されたものを食べるときは要注意です。
・通年性のアレルギー性鼻炎など、もともとの吸入性ダニアレルギーを有している患者に起こることが多いとされています。
・ダニの感作の証明と、小麦アレルギーの否定をするために検査します。
関連する特異的IgE項目
・アニサキスアレルギーはアニサキス由来のアレルゲンによるIgE依存性反応により、蕁麻疹、消化器症状やさらにはアナフィラキシー症状を呈することもあります。魚類やイカに寄生したアニサキス虫体を摂取することによる、胃アニサキス症とは別の病態です。
・成人における魚介類摂取後のアナフィラキシーの場合には、当該疾患を必ず鑑別する必要があるといわれています。思春期から成人で新規発症する即時型アレルギーの原因食物は甲殻類、魚類が多いことが報告されていますが、特定された誘因としては海産食料品そのものによるアレルギーよりも、寄生虫 Anisakis spp. によるアレルギー (アニサキスアレルギー)の方が多いです。
・一般的にアニサキスの寄生率が高い魚介類(サバ、アジ、カツオ、イワシ、ブリ、ホッケ、イカなど)の生食後に症状を起こすことが多いと報告されています。
・アニサキス由来のアレルゲンの特徴として、熱耐性を有するものもあるので、加熱調理した魚介類でも症状を起こすことがあります。
・検査としては、アニサキス及び摂取した魚介類での皮膚テストや特異的IgE抗体検査を実施します。
関連する特異的IgE項目
・ナッツ(木の実類)アレルギーは近年、食物アレルギーの原因食物として増加傾向にあります。特にクルミやカシューナッツなどが増加しています。
・木の実類はひとくくりにされることが多いですが、クルミ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツは生物学的分類が異なります。木の実類として、全ての除去を指示されている場合でも、個別に摂取の可否を確認する必要があります。
・木の実類アレルギーの多くは幼児期に即時型症状として発症し、重篤な症状を呈することもあります。
・検査としては、経口負荷試験や特異的IgE抗体検査、中でもクルミ、カシューナッツでは、アレルゲンコンポーネントによる特異的IgE抗体検査が有用です。
・クルミやカシューナッツ粗抗原の特異的IgE抗体検査で陽性でも摂取可能な方はいますが、アレルゲンコンポーネントであるJug r 1(クルミ由来)やAna o 3(カシューナッツ由来)特異的IgE抗体が陽性の方は、摂取により症状誘発リスクが高い方となります。逆に、粗抗原が陽性でもこれらのアレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体が陰性の場合、摂取可能な場合が多く、経口負荷試験で摂取できるか確認することができます。
・関連する資料は以下のリンク先よりダウンロードが可能です。
関連する特異的IgE項目
1) 食物アレルギー診療ガイドライン2021
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